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その瞳にうつりたくて…

第5章 思い出

「私は今でも覚えてますよ、レッドのこと」

まぁ、彼女に取っては初恋だろうし
やっぱり女性にとって初恋は忘れられない特別なものなんだろうな。
平井先生もそう言ってたし。

「仲間思いで、強くて優しくて頼りがいがあって、いざって時はかっこよくて頼もしくて。もちろんレッドだけじゃなくて加藤悠人さんっていう一人の俳優さんとしても大好きですけど」
「へ、へぇ~…」

あぁ、なんか…、やっぱり慣れないなこの感覚。
彼女は俺がレッドだと知らずに語ってるんだろうけど客観的に自分を語られるこの感覚。

「実は私、加藤悠人さんが好きすぎて…、今まで付き合った彼氏もどことなく加藤悠人さんに似てる人ばかりなんです」

「えっ!?」


は…?
な、何だその話…?
今まで付き合った彼氏が俺に似てる…!?

思わず今座ってるパイプ椅子から転げ落ちそうになってしまった。

「え?えぇっ!?」
「単純に加藤悠人さん似の人とか。レッドみたいにワイルドな人とか…。恥ずかしいんですけど、昔の初恋をずっと引きずっちゃって…」

え…、ええぇ…っ!?
えええぇぇええぇぇぇ…、何だよそれ…。

いや、これマジで不味くね?
いよいよ俺が加藤悠人本人だって言えなくなって来たんだけど。

いや、つーか
平井先生曰く、子供の頃の恋なんて麻疹みたいなもんなんじゃなかったのかよ?
すっげぇ引っ張ってるみたいなんだけど…。

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