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その瞳にうつりたくて…

第5章 思い出

「4歳の頃の記憶ってレッドしかないんですよ、私。それってそれだけ強烈に残ってるって事ですよね!?」

いや、まぁ、そりゃそうかも知れねぇが。

「あれからどんな男の人と付き合っても加藤悠人さんの影を追いかけちゃうんです」
「へ、へぇ…」
「4歳の頃の初恋なんてノーカウントとか言う人もいますけど、私に取ってはノーカウントじゃないです!今でも私の憧れの人なんです」
「~~っ!」
「あぁ、もし願いが叶うならもう一度加藤悠人さんの顔が見たい!いや、願いが叶うなら加藤悠人さんに直接お会いしてみたい!!そしたら思い切って私の想いを…」
「ス、ストップストップ!」

これ以上彼女の口が開かないように声を張り上げてしまった。
いや別に…、彼女が悪いわけじゃないんだけど。

「ハルさん?どうしたんですか?」
「いや、ちょっと…」


あー、さっきからすっげぇ恥ずかしい…。
顔が熱いし動悸もヤバい。
彼女は俺って知らないで喋ってるんだろうけど、ここまで情熱的に想われたのは初めてだ。

「すいません、私ばっかり話しちゃって」
「あぁ、別に大丈夫だけど…」

俺の正体がバレたら、傷つく前に殺されるな、俺。

でも彼女は、俺がレッドだって知らないんだよなぁ。
仮に彼女の目が見えてたとしても、今の俺を見たらガッカリするだろうな。

俺の正体は墓場まで持って行く秘密だな。

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