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一夫多妻な三姉妹

第2章  従業員募集

面接に応募してきたのは4人だった。

あまり知られていないけど、漬物屋はかなり力のいる仕事だ。

だから女性からの応募は電話で断り、そして4人の男性応募者に絞り込んだ。

面接は姉が立ち会い、時間が合えば私や妹が面接に加わることもあった。


面接に現れた男性は、最初の3人は中年の《オジサン》ばかりだった。

それもそのはずである、漬物の製造販売なんて一般の人から見たら汚れる肉体労働でしかない。

そして最後に面接に来たのが、20代半ばの「リョウ」という男性だった。


リョウはかなりのイケメンで、少しナヨナヨとした中性的な男性だ。

「中浜リョウ君ね…えっと、前職はファーストフードになってるけど、こんな仕事でいいの?」

面接は店のレジで行い、私と妹は店番をしている。

「は、はい。漬物好きですし…ちょっと製造にも興味がありまして」

「そうなんだ。でもちょっとキツイかもよ?見たところあまり肉体労働には向いていないように思えるけど…」


私と妹の奈々は、ひと目でリョウを気に入っていた。

だから、姉のネガティブな質疑に不満を感じている。

「力仕事多いんですか?」

「そうね、水樽を動かしたり、野菜を運んだりするからね」


私と奈々は、姉への不満から、しだいに《絶望》へと変わりつつある…。

「でも、頑張りたいんです…」

リョウはもぞもぞとした返答をし、それを聞いた姉は「じゃあ、あなたで決定ね!」とあっさりとOKを出してしまった。


出勤日や給料のこと、社会保険のことなど、細々なことを伝え、リョウは「じゃあ、明日からよろしくお願いします!」と場違いな大きな声を出して深くお辞儀をして出ていった。


私は店を出て行くリョウから目を話せず、じっと見つめていたが、背後に気配を感じて振り返ると、姉の真由子がニタニタと微笑んでいた。

「イケメ~ん!!」

私たちはさすが血の繋がった姉妹だった。

だれ始めることなく、ずれのないハーモニーで声を揃えた。


私は少し意外だった。

姉はすっかり「会社の責任者」として、よこしまな考えなく面接をしていると思っていたが、そこに「女の感情」を介在させていたのだ。

私達姉妹は、いい年をしていたが、これまでの恋愛経験の無さが原因で、中身は中高生の女子のままだった。

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