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ヌードモデルは『ミス・キャンバス』になれるのか

第3章 知佳の場合――レオタードの憧憬

ともかく、男性が女性を支えるときは、美しくて最適なポジションを選んでいるのにすぎないのだから、
脚・胸・背中・腰・お尻、どこに男性の手がかかかろうと普通なのだ。

――そういうのにも、私は慣れていくんでしょうね。

知佳はそう言って、自然にガウンを脱いだ。

まぶしい裸身が現れた。

なんて嬉しいサプライズ!
一時間ものスタンバイを希望した理由がわかった。

フランス語をつぶやきながら、彼女は全裸でポーズをきめていく。
今日はジュッテ(跳躍)以外、どんなポーズでもキャンバスに残せるのだ。
知佳にとってもまたとないチャンスだろう。

――でも、ヌード以上に美しいポーズがレオタードでならできるかもしれない。

躍動する裸体を眺めながら、私は変なことを考えた。

それでは、ヌードが究極の美だと信じてモデルをつとめてきた私の自己否定になってしまう。

健康的に弾む乳房やお尻を布で隠すなんてもったいないはず。
ほら、いつかのレオタード女子高生に、裸になれと要求したことを忘れたの?

それでも私は、知佳の全力はレオタード姿でこそ発揮されるはずだという確信をもってしまった。

思索する私を置き去りに、準備運動(?)は激しさを増していく。
普通の角度から性器(と言うしかない)が見えてしまうほど、知佳は全身を開放していった。

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