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堅実メイドの献身

第4章 辞退

「これ、よろしければどうぞ。」

すっと差し出されたものを見る。
藤井の手にピンクの個包装に入ったものがいくつか乗ってる。

「いちごミルク、、飴ですか?、、藤井さんがこういうの持ってるの、意外です。」

「ギャップ萌えしました?」

藤井がにっこりと笑いながら問いかける。

「いえ、特には。」

「おや、残念。メイドの皆様には中々高評価なのですが。」

確かに、お固そうな藤井から飴玉貰えたらギャップで好感度を抱くメイドはいそうである。

「でも、いちごミルク好きなので有り難く頂きます。」

そう言って雅は飴玉を全部受け取る。

「ふーんいちごミルクお好きなんですね。」

意外そうに藤井が見る。

ー自分で渡してきて意外そうにするとは失礼な。

「ダメでしょうか?」

すこしムッとしたのが顔に出てたかもしれない。ただ藤井は気にした風もなく、更ににっこりして言う。

「意外と可愛い好みですね。」

「バカにしてますよね?」

雅がさらにムッとなると、藤井は何気に顔を近づけてきた。

ー えっ、何⁈

雅の耳元で囁いた。

「ギャップ萌えですね。」

「えっ。」

「それでは、仕事がありますので失礼致します。伊東さんには大いに期待してますよ。」

手をヒラヒラとさせ藤井は食堂から出て行った。

雅は呆気に取られて、何も言えずにただ見送った。

ー なんか遊ばれた気がする。

そう思ったが、藤井と話して少し気が紛れた部分もある。

ー とにかく、気持ちを切り替えよう。仕事に集中しなきゃ。

残りの朝食をできる限り胃に流し込み。
食堂を後にした。


ーーーーー

コンコン

「失礼致します。」

気が進まないが、再び暎人の部屋にきた。

「暎人様、起きていらっしゃいますか?起床のお時間です。」

「あぁ、今起きる。」

まだ眠いのか、低めの声で返事があった。

「朝食は、広間かお部屋、どちらでお召しになりますか?」

「広間で食べるよ。」

「かしこまりました。それから、本日のご予定は仕事に行かれる以外、特に他のご予定はなしでよろしかったでしょうか?」


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