ミストレス・ラブ
第1章 先生との出会い
それは突然だった。いつものように支部の子たちとクールダウンのストレッチをしていた時だった。
「あなた。ちょっといいかしら?」
背後からS先生の声がした。私はすぐに振り返ると黒のドレスに身を包んだS先生、それに支部のH先生が立っていた。
今日のレッスンのダメ出しだろうか。ミスなく踊れていたと思うけど…
いずれにせよ怒られると思っていた私は、動悸を抑えられなかった。
「そんなに怖がらなくていいから。」
H先生が笑みを浮かべながら声をかけてくれた。
「----と、いうことなのだけれど、お願いね?」
私は動悸が収まらないまま、いつも先生方が鎮座している大鏡の前に招かれた。
突然の出来事にその時はその事実を受け入れられなかった。
事の重大さに改めて気づいたのは、着替え終わってスタジオの前でママの車を待っていた時だった。