ひとつ屋根の下の愛情論
第10章 裏表の夏
手探りの…セックスとは名ばかりな行為を終えた俺たちは…
早々にホテルを後にした。
「///あ…ありがとう――――じゃぁね…」
「うん――――じゃぁ…気をつけて」
少し火照った頬を俺から隠すように横沢さんは俺に背を向け――――足早に帰っていった。
俺の手には「半分出すから…」と、無理やり握らされたホテル代だけが残された。
「全額――――出すって…言ったのに」
横沢さんから無理やり渡された――――と、言う事を考えると…再び複雑な気持ちになった。
「なんか――――…買われた気分」
それは、言い過ぎかもしれないが…
そんな程度の行為だった。
横沢さんの姿を最後まで見送り――――…俺も帰ることにした。
しかし、ただその…何も感じなかった行為にもいくつかの収穫はあった。