ひとつ屋根の下の愛情論
第12章 沈殿する記憶と思い
「なあ、福田って横沢と同じ塾だったんだろ?――――お前がグズグズしている間に…横沢、彼氏出来たらしいぞ!?相手、大学生だって…大人しそうな顔して…やる事はやるんだな!んっだよ――――…福田と上手く行くと思ってたのに」
目の前でガッカリ顔の吉川はチラッと横沢さんを見た。
「ふ~ん…彼氏できたんだ…」
処女がめんどくさいと言った彼だろうか?だとしたら…彼女は見事にヤり捨て確定のフラグが立っているが…
俺が家族で団らんを決め込んでいる間に、彼女は前に進んだのだ――――…
女は――――凄い生き物だ。
「で~…傷心の俺たちが次に向かう先は分かってるよな?福田!」
「は?もういいよ、勉強もしないとだし…当分…振り回されたくない」