ひとつ屋根の下の愛情論
第12章 沈殿する記憶と思い
授業が終わりると――――生徒たちは各々下校し教室はあっという間に静かになった。
ボーっと、クラスが静かになっていくのを眺め――――…俺も自分の席から立ち上がる。
すでに部活を引退した3年生には…学校に居場所はない。
教科書を鞄に入れ――――…帰ろうとしたその時…
「あっ――――…福田…くん」
と、忘れ物を取りに戻った横沢さんが教室の出入り口で驚いた顔をしていた。
「横…沢さん――――忘れ物?」
「///あっ、う…うん」
一瞬…気まずそうな顔を見せたが、すぐに笑顔で返事をしてくれた。
一度――――寝ただけの…関係の彼女には…
すでに何の感情もわかなかった。
だが、一瞬――――色が見えた気がして…気持ち悪かった。