ひとつ屋根の下の愛情論
第12章 沈殿する記憶と思い
「///福田君って…優しいよね――――…あんな…むちゃくちゃなお願いした私に、しかも――――…吉川君とかに話してないんでしょ?」
横沢さんは横目で俺を見ながら…申し訳無さそうに笑った。
「別に……言いふらすことでもないだろ?」
「だって――――男子って童貞卒業って…自慢したがるって…言ってた」
「誰が言ってたんだよ……その人はそうかも知れないけど――――…俺は違ったってだけだろ?」
歩幅を彼女に合わせて歩く俺は、いつもよりゆっくりな景色の流れをつまらない会話と共に堪能する。
「///――――そ、そうなんだ…私――――福田君と付き合えば…良かったかな?」
照れて可愛く言う横沢さんの言葉に俺はガッカリとうんざりが混ざった…複雑な心境になった。
「なんで――――?気になる人と恋人になれたんじゃないの?」
「うん――――///そうなんだけど…なんか…」
結局、遊ばれた――――と、気がついたのか?
しかし、横沢さんは何か勘違いしている。
“福田君は私が好きなんだから、私と付き合いたかったでしょ?”
と、言う態度が節々に感じられ…腹が立つ。