ひとつ屋根の下の愛情論
第12章 沈殿する記憶と思い
「福田君って――――好きな人…いるの?」
「――――いるよ。年上の…人」
「年――――上…かぁ…」
横沢さんは“自分”だと…思っていたのか――――…ガッカリしたような顔を見せた後、「年上かぁ~」と、納得するために同じことを2回言った。
「そっか、告白しないの?」
そして、再び俺に笑顔で聞く。
「――――しない…絶対…無理って分かってるから」
「///彼氏持ち?――――まさか、旦那さん持ちとかじゃないよね?」
「ど~だろう、恋人がいるかどうかは…知らない。完全な片思い…でも、側にいるだけで――――今は幸せだから…」
やっと…塾の看板が見えた――――…。
律夏…ロビーとかにいないかな?
笑える――――…
看板が見えただけなのに…こんなにも…俺は律夏を探してしまう。