ひとつ屋根の下の愛情論
第12章 沈殿する記憶と思い
「横沢さんは――――ちゃんと恋人になれたんだから…頑張りなよ。相手を知って、もっと好きになればいいんだよ…君は幸せになれる人なんだから」
――――俺は幸せになれない人だから…
そう、言いつけたしかたったが…
「///うん、頑張る」
と、笑う彼女には言えなかった。
塾に入っていく彼女の後ろを見送り――――俺はビルのロビーで律夏にメールをする。
『今――――塾ビルのロビー、晩御飯なに食べたい?』
と――――…
すると、『今――――降りる』
と、直ぐに返事が来た。
『待ってる』
――――待ってる…ずーっと…俺は何時間でも律夏を待てる…
願わくば…何時間も放置して――――…理不尽に俺を睨んで欲しい。
律夏――――…こんな俺は、お前の“家族”にふさわしくない…
だから…
“弟”――――――――…って言わないで…