ひとつ屋根の下の愛情論
第12章 沈殿する記憶と思い
「秋音!――――どうした?」
エスカレーターで降りてきた律夏に呼ばれ振り向く。
スーツ姿の律夏は…クラクラするほどカッコいい――――…
背が高く、足も長い――――…胸板の筋肉はスーツの上からでも分かる。
ワイルドな顔立ち…鋭い目元――――…大きな口には薄い唇がよく似合っている。
「///あ――――…同級生がここの塾生だから…一緒に来てみた…晩御飯、何がいい?」
「――――横沢さん…だっけ?そ~…あっ~晩御飯…あっ…今日はこの後、資料まとめて終わるから!外飯にしないか?お兄ちゃんがなんでも奢ってやる!」
「///あっ――――、外食?いいの?」
「バーカ…遠慮すんな!家族だろ?」
――――…“家族”……だよね…
律夏にとって…俺は“家族”で“弟”
抱きたい――――
奪いたい――――…
の“愛”じゃ――――ない。
――――俺は幸せになれない。
――――好きな人とは…一生…結ばれない。
だって…
“家族”
だがら――――…。