ひとつ屋根の下の愛情論
第14章 側にいる理由
「文化祭――――…へぇ~、秋音のクラスお化け屋敷やるのか!」
晩御飯を食べながら食卓で文化祭の話題となる。
律夏はトマトサラダを口に運びながら執行部が作った文化祭のチラシに視線を落とす。
その時、ジュル――――…と、唇の端からトマトの汁が溢れそうなのをキュッと結んで阻止するのが見えた。
その唇にドキッとする――――…
相変わらず…ワイルドな顔立ちと薄い唇にクラクラする。
最近――――そっち系のアダルトをネットで探しても…
律夏に似ている人なんていなくて…結局…手の届かない義理の兄を頭に思い浮かべながら、自分を慰める日々が続いている。
それは――――一度や二度じゃない…
じゃぁ、そっち系で処理を――――とも、思ったが…
【男】に攻められる…と、思うと…
あの時の恐怖が全身を包み――――…ピンク色の興奮など…微塵も沸いてこないのだ。
なら、女性に攻められる【SM】関係のアダルトはどうだろうと――――それを見ても…反応は同じだった。
律夏じゃないと――――やっぱり…ダメで…
本当に――――…厄介な性癖に着地したと…
時折――――へこむ。