ひとつ屋根の下の愛情論
第15章 炎の願い
「…お兄さん――――福田の知り合い?」
「知り合いって――――まぁ~なぁ、」
つい、“兄”だと言えなかった自分の覚悟のなさに…心の中で笑った。
「あ~…さっきクラスの女子と休憩に入ったの見ましたよ?――――高校生活最後のイベントに彼氏フラグ立ててるとこじゃないっすか?」
「彼氏…フラグ?」
ゾンビはニヤニヤしながら後ろの階段をチラッと見た。
「アイツも不憫つ~か、なんつ~か?修学旅行で好きな子に告白する予定だったのに――――…怪我して入院しちゃったじゃないですか~、その子が他の奴と付き合っちゃって…マジでタイミング逃したって感じだったんすけど!
その子が最近!彼氏と別れたらしんっすよ!
で、その子が福田の気持ち知ってたらしくて――――な~んか意識しちゃってて!」
塾に来ていた…女子と付き合っていると思っていたが――――…違うらしい…
少し嬉しく感じたが――――ゾンビの情報に一々ビクつく。