ひとつ屋根の下の愛情論
第16章 残酷な残り香
「律夏先輩は――――ノーマルっすね!若い女性がお好き見たいですね…まぁ、そっち系の人からも誘いはありますけど――――関係したことはないと…俺は思うっす!」
――――そうか…やっぱり…
俺は「ですよね?」と、顔に出さないように微笑んでみた。
「///弟くんは――――…微妙だよねぇ~!そう言う顔――――好きな男は沢山いるから気をつけて!男は快楽に弱いから、一度覚えると…抜け出せなくなるぞぉ~!っと、やべぇ遅刻、遅刻!弟くんバイバ~イ」
木戸は腕時計を確認すると慌てて走り去った。
俺は再びポツンと取り残され…重い足をどう動かそうか迷う。
「やっぱり――――律夏はノーマルだよな…」
自分だってノーマルな癖に…どうして律夏が“あっち”の人だと――――と、考えたんだ…
「///男も抱けるなら――――…俺でも…って期待したのかな?」
声に出して…ため息をつく。
期待――――したかった。
して――――…みたかった。