ひとつ屋根の下の愛情論
第17章 乾きの果て
「ちょっ…律さん…」
後ろから雅が慌ててついてきたが…俺は秋音の肩をつかみ…息が出来ずにいた。
「…律夏…なんでここに?」
「おい、その体――――どうしたんだ…マジで…痩せすぎじゃないか?お前…受験のプレッシャーとか…か?」
俺は、受験のプレッシャーで壊れていく生徒を今までに何人も見てきた。
親の期待――――…
失敗を考える不安――――…
模試を受ける度になくしていく自信――――…
「――――プレッシャー…?そんなのないよ。大丈夫…集中してると…ご飯を食べるのを忘れるだけだよ」
「忘れるって――――…」
1、2回忘れるって感じの痩せかたじゃない…
「母さんたちは?正月で帰ってきてるんだろ?飯…食わせてもらってないのか!」
「そんな、鬼ママみたいな言い方…義母さんの料理は全部美味しいよ、ちゃんと食べてる。今は、追い込みだから――――食が細いんだ…“満腹は敵だ”って誰かも言ってただろ?」
秋音は笑いながら肩に置かれた俺の手を退かせた。