ひとつ屋根の下の愛情論
第4章 一押しの食パン
「――――お…ぃ――――おい…秋音…」
「!うわっぁぁぁぁぁぁ!」
声をかけられ――――俺は飛び起きた!
すると、近くにいた律夏さんが俺と距離を取る。
「大丈夫か――――…玄関で寝てたぞ?」
寝て…た?
違う――――気を失ったんだ…
「あ~…病院では、この時間帯寝てたから…ウトウトしちゃったんだ…。玄関で寝るとか――――のび太並みに何処でも寝れる特技がついたみたいだ…」
「なんだそれ――――…だからって玄関は極端じゃねぇ~の?バカなの?」
バカ――――…か…
気を失ったんだ…場所なんか…選べない。
「だね――――玄関はやめとくよ」
俺は…何故か一階の…座敷に寝かされていた。
玄関からすぐの居間のソファに運べば手っ取り早いのに…
わざわざ…
しかも布団…
「布団――――どうしたの?」
「あ~…俺用の布団――――…実家に俺の布団が無いのは寂しいでしょって…だいぶ前に買ってあったやつ…畳に直に寝るよりいいだろ?」
律夏さんの――――布団…
そう言えば…
一緒に住む前に、義母の布団を買いに…父さんと二人で出掛けていたっけ。
その時――――律夏さんの分も買っていたんだ…