ひとつ屋根の下の愛情論
第4章 一押しの食パン
しかし、その日の夜中――――…俺は再びトイレでその寿司を下水道に流した。
自分の部屋が…居間の真上だと気がついたその瞬間に…吐き気が襲ってきたのだ!
――――ヤバい…逃げられない…この家には俺の逃げ場がない!
洗面所で顔を洗い廊下に出ると――――…
律夏さんと鉢合わせになった。
「ヒッ――――!」
とっさに殴られる!と、あの日のフラッシュバックで頭を庇う体制になり…恐る恐る律夏さんを見上げた。
「…吐いたのか?」
口の回りの水をみて…律夏さんはあきれた顔をした。
「ちょっと…食べ過ぎたかな?」
「ちょっとって――――…二皿と茶碗蒸しだけだろ?ダイエット中のOLより少ないぞ」
――――やっぱり…この人は分かっていて言っている…
「律夏さんは…俺が嘘つきだと…思う?」
「あぁ――――下手くそな…嘘つきだと思う」
やっぱり…
「父さんや義母さんも――――…気がついてるかな?」
「いや――――あの人たちは…気がついていないだろ?お前…嘘――――上手いから」
「――――どっちですか…」