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ひとつ屋根の下の愛情論

第4章 一押しの食パン


朝――――変な体勢で寝ている律夏さんを起こさぬように客間を出ると…


財布を持って家を出た。


近所のパン屋に――――一押し食パンを買いに向かった。


昨日、散歩している時に「あ、ここのパン…旨いんだよな」と、律夏さんが言っていた。


近所でも評判のパン屋だ、もちろん俺だって知っている。


でも、律夏さんが知っているとは意外だった。


俺は朝イチで食パンを買い――――それを持って家の玄関を開けた。


そして、その足で――――台所に向かった。


足が震えそうになったが…甘い食パンの香りに助けられ…台所に立つことが出来た。


俺はパン包丁でパンを切り…義母が父さんにお願いして買ってもらったトースターでパンを焼いた。


「律夏がねパン大好きなの!だから、いいトースターがあると頻繁にここに帰って来るはずよ!」


義母が嬉しそうに届いたばかりのトースターを何度も開け閉めして言っていたのを思い出す。


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