ひとつ屋根の下の愛情論
第5章 背中の温もりとか…
アパートに寄ってから、アイツの家に向かう。
すでに慣れた道のりだが、まだ違和感はある。
“実家”
そう言われると抵抗感だってまだある……
角を曲がると――――玄関のライトが点いている家が何件か見えた。
その中の一つが…アイツの家だ。
誰かの帰宅を待つ…玄関のライトに…なんともむず痒い気持ちになる。
玄関先から「おかえりなさい、待ってたよ」と、言われているような…妙な気持ちだ。
帰宅を待つ――――玄関…
俺はその扉をあける。
すると、台所の方から「律夏?おかえり」と、声がした。
居間の扉を開け――――台所を見ると、ちょうど晩御飯を作っている秋音が見えた。
「今日――――なに?」
「しょうが焼き――――…好きだろ?」
小刻みにフライパンを揺らしながら香ばしく豚肉を炒めている。
「つ~か…しょうが焼き嫌いなヤツこの世の中にいんのかよ…」
「何処かには…いるかもよ?」
俺はコンビニで買ってきたビールと缶チュウを冷蔵庫に入れ秋音を見る。