ひとつ屋根の下の愛情論
第5章 背中の温もりとか…
「今日は――――吐いてないか?」
「吐いてねぇよ…食ってねぇもん」
サラッと拒食宣言されると…イラッとする。
しかし、イラついても仕方ないことだ。
それよりも、そんな秋音が晩御飯は食べるつもりで作っているのだから、喜ばしく思わなくては。
「皿出すか?」
「うん――――…じゃぁ、千切りキャベツ盛り付けて…」
「へ~い」
俺は、綺麗な千切りキャベツを皿に盛り付けると、その皿を秋音に渡した。
そこに、出来立てのしょうが焼きを盛り付け――――…完成らしい。
その時、チラッと見たが――――味噌汁の具が…ナスだった。
――――ナスかぁ…苦手なんだよなぁ…
そう思うも、おかずや小鉢のラインナップからすると…バランスはいい。
作ってもらっていて文句は言いたくない。
「「いただきます」」
俺たちは向かい合って食卓に座ると――――晩御飯を食べ始める。
最初に味噌汁のナスを制覇してしまえば、後は大好きなしょうが焼きを堪能するだけだ!
俺は味噌汁のナスを初手でかっこんだ!