ひとつ屋根の下の愛情論
第5章 背中の温もりとか…
脱衣場は秋音が倒れた状態の…少し荒れた感じだった。
少し床が濡れていて…バスマットも歪み斜めになっていた。
「――――はぁ…」
目を閉じると…全裸姿の秋音が倒れていたさっきの場面が浮かび上がる。
と――――同時に…
あの日の…縛られ目隠しと猿轡姿のアイツも浮かび上がってくる。
「――――なんで…重なるかなぁ…」
さっきの風景と…あの日の風景が重なり俺を落胆させる。
そして――――…
どちらも…艶かしく黒く消える。
「マジで――――俺は最低だな…」
一瞬でも…
アイツの姿に色を感じた自分が怖かった。
“――――触らないで…”
「正解……」
俺は歪んだバスマットを整えた。