ひとつ屋根の下の愛情論
第6章 現状維持の押し問答
「あ、今日でカウンセリングも治療も終わりだから――――…律夏にも話あるって…」
カウンセラーの先生が最後に律夏と話がしたいと言っていたことを伝える。
両親にだまって通院するために、律夏を保護者代わりにしているため…しょうがないが…
この1ヶ月…俺は律夏に迷惑ばかりをかけている…
“誰にも――――迷惑をかけたくない…”
とか、泣きながら訴えていた最初の頃が懐かしい。
結局――――まだ、未成年の俺は大人に頼らないと生きていけないと、実感した。
律夏は週刊紙を椅子に置き、めんどうくさそうな顔で診察室に入っていった。
今後の生活の注意点でもあるのかもしれない…
そして、ふと――――…
“終了”
の二文字が俺の胸に――――ズン…と重く沈んだ。