ひとつ屋根の下の愛情論
第6章 現状維持の押し問答
「やりたいこと…ねぇの?」
「やりたいこと――――…思い付かないや」
「つまんねぇやつだな…」
「うるせぇよ――――…バイト先でそのまま就職した律夏にいわれたくねぇよ!」
フンっと、悪態をついてみるも…就職しているだけ――――…俺より大人だ。
「なぁ――――…晩飯…餃子にしねぇ?」
は?唐突になんだよ!晩飯のリクエストかよ!
「冷凍なら家にあるぞ…」
冷凍なら簡単で助かる!
「は?手作りに決まってんだろ?ニンニク、ニラ無しの生姜多目のやつ!売ってるのはニンニク強いからやなんだよ!ほら、俺って人気塾講師だからな!」
「ガキか!」
――――結局、その日の晩飯は律夏のリクエスト通りの餃子になったが…
なんだかんだ…律夏は手伝ってくれた。
平日の…カウンセリング後の午後は…いつもなんだかんだ言いながら俺のそばにいてくれた…
でも――――それも今日で終わり…
二人で…餃子を包むのも…今日で…
終わり?