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歪ーいびつー

第18章 ー真実ー



テントでの事があってから、優雨ちゃんと夢ちゃんの様子を時折心配そうに見つめていた涼。そんな事情も知らずに、さっきまで無邪気に川で遊んでいた夢ちゃん。
俺は夢ちゃんの可愛い笑顔を思い出すと、目の前にいる優雨ちゃんに向かって貝殻を差し出した。

「はい、これ優雨ちゃんにあげる」
「えっ……私? ……夢にじゃなくて? 」

驚く優雨ちゃんは、そう言いながら俺を見る。

「うん、優雨ちゃんにあげるよ」

俺は優雨ちゃんを見ながら小首を傾げると、ニコリと笑ってそう言った。

「……何で? 」
「うん……実を言うとね、本当は夢ちゃんにあげるつもりだったんだ」
「じゃあ、夢にあげたら? 」
「もう涼に貰ったみたいなんだよね」
「……そう」

俺の言った涼という言葉に、複雑な表情を見せる優雨ちゃん。

「あの二人は両思いらしいし……」
「え……っ? 」

ポツリと呟くと、驚いた顔をして俺を見る優雨ちゃん。

「そんな事……誰が言ってたの? 」
「うーん……誰にも秘密だよ? さっきね、聞いちゃったんだ。涼が夢ちゃんに告白するとこ。で、涼が言ってた。……両思いだねって」
「……」

優雨ちゃんを見ると、表情こそ普段通りに見えるがその手は小さく震えていた。

「あの二人は両思いなんだね」

俺はハッキリとした声でそう告げると、優雨ちゃんの顔を見てニコリと微笑んだ。





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