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歪ーいびつー

第18章 ー真実ー



キャンプファイヤーが終わって帰ろうとしていると、少し離れた場所で涼と優雨ちゃんが話している姿が見えた。どうやら、早速二人に動きがあるらしい。
クスリと小さく笑い声を漏らした俺は、そのまま連れ立って何処《どこか》へ行く二人の後を、気付かれない様に注意しながら追い掛けた。

暫くして川へと着いた二人は、大きな岩に腰掛けて何やら話をしているみたいだったが、遠くで隠れて見ている俺には会話まではわからない。

ーーーカサッ

ーーー!?

「奏多……? 」

音のした方へと視線を移すと、茂みに隠れて涼達の様子を伺う奏多がいた。
奏多も夢ちゃんの事が好きだから、夢ちゃん以外の人と何処へ行く涼が気になったのだろう。大方、涼が誰かと仲良くしようものなら、それを夢ちゃんに告げ口でもするつもりで……。

俺は視線を奏多から川へと戻すと、岩の上にいる二人を見た。すると、話しが終わったのか涼が立ち上がって帰ろうとする。
ーー次の瞬間、優雨ちゃんが涼を川へと突き落とした。
呆然と岩場に立ち尽くす優雨ちゃん。

ーーーカサッ

音のした方を見ると、茂みから出てきた奏多が川の方を見つめながら立っている。
そして、奏多はクルリとこちらを向くとそのまま歩き始めた。
あの光景を見ていたはずの奏多が、何故かこっちへ向かって歩き出す。
俺は隠れていた場所から少し位置を変えると、すぐ横を通り過ぎる奏多の顔をチラリと見た。
ーーその顔は、全くの無表情だった。

「……へぇー」

それを見た俺は小さく微笑みながら呟くと、川へと視線を戻して未だに立ち尽くしている優雨ちゃんを見つめた。




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