歪ーいびつー
第18章 ー真実ー
手に持っている花火を背中へしまうと、ゴツゴツとした岩場を歩きながら川を眺める。
暫く歩くと、目的地へと辿り着いた俺は足を止めた。
「やっぱり……探しに来て良かった」
そう小さく呟くと、岩を渡って近付いて行く。
「……涼」
俺はニッコリと微笑むと自分の足元へ向かって話し掛けた。
先程、優雨ちゃんが涼を突き落とした場所からさほど離れていない川下で、涼は傷だらけになりながら岩に掴まっていた。
俺はその岩の上に立つと、涼を見下ろして微笑みながら口を開いた。
「探してみて良かったよ」
「……っ……かえ……っ……」
俺はその場でしゃがみ込むと、川の流れが早くて動けないでいる涼の手首を掴んだ。
「これはもういらないよね? 」
そう言って貝殻の付いたブレスレットを引き千切る。
顔を歪めた涼が何か言おうとしているが、川の流れが早くて話せない。
「邪魔な虫は殺さないとね……ばいばい」
そう言ってニッコリと微笑んだ俺は、手に持っていた大きな石で涼の頭を殴りつけた。その衝撃で岩から手を離した涼は川へと流されーー数秒後には川にのまれて姿を消した。
俺は立ち上がると暫くそのまま川を見つめた。
これで邪魔な涼がいなくなった。
そう思うと凄く嬉しくて……川を見つめる目を細めて微笑んだ。
「……楓? 」
不意に聞こえたその声に、俺はゆっくりと後ろを振り返った。するとそこには、不安そうに俺を見つめる朱莉ちゃんがいた。
「……朱莉ちゃん。どうしたの? 」
俺はそう言うとニッコリと微笑んだ。
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