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歪ーいびつー

第18章 ー真実ー



俺はそんな夢ちゃんをしっかりと抱きしめると、「夢ちゃん、見ないで。見ちゃダメだよ……」と優しく囁いた。
大声を上げて泣き叫び、床に崩れ落ちてゆく夢ちゃん。それを追うようにしてしっかりと抱きとめる。
夢ちゃんは震える手で俺の背中にしがみつくと、ガタガタと震えながら泣き続けた。

ごめんね、夢ちゃん。……怖いよね。大丈夫だよ、もうすぐ終わるからね。
俺は腕の中にいる夢ちゃんに向けて、心の中でそう囁いた。




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夢ちゃんと朱莉ちゃんを教室から出て行かせた俺は、仰向けで倒れている奏多へと近付いた。
腹部に俺のハサミを刺したまま、苦しそうな呼吸を繰り返す奏多。

「馬鹿だなぁ、奏多。……助かったらダメだろ? 」

奏多を見下ろしたまま先程奏多が言っていた言葉を告げると、俺はその場にしゃがんで奏多の耳元に口を寄せた。

「ーーばいばい」

そう言ってニッコリと微笑むと、腹部に刺さったままのハサミを握って奥へと押し込んだーー。




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