歪ーいびつー
第2章 小5ー夏ー
「夢……本当に大丈夫? 」
心配そうに見つめる涼くん。
「大丈夫だよ、夢。俺がついてるから」
「じゃあ……こっちは俺ね? 」
奏多くんが右手を、楓くんが左手をそれぞれ握ると、「これでもう怖くないね? 」って楓くんが笑顔で言うから……。
本当はやっぱり怖いけど……コクリと小さく頷く。
「あと少しだから頑張ろう、夢」
いつもの笑顔に戻った涼くんが、ポンポンと私の頭を撫でる。
まだ涙でぐしゃぐしゃのままの私は、涼くんのいつもの笑顔が嬉しくて、それにつられるようにして大きく頷いた。
「じゃあ行こうか」という涼くんの言葉を合図に、改めて出発となった私達。
明かりがある方がいいからとの事で、朱莉ちゃんは涼くんと。
私の右手には奏多くん。左手には楓くん。
優雨ちゃんは優しく私の頭を撫でながらずっと側にいてくれた。
何故かさっきまで感じていた恐怖に比べるとそこまで怖くないのが不思議だったけど、私は別の意味で苦しむ事となる。
もう涙は止まったのに……なかった事にしたいのに……。
「夢ちゃん泣いちゃったね。……でも可愛かったなぁ~」
なんて、妙にご機嫌な楓くんが何度も言うから……。
私は赤面した顔を俯かせると、暫くの間楓くんによる公開処刑に黙って堪えながら歩く事となった。
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