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歪ーいびつー

第2章 小5ー夏ー



「わぁ……綺麗」

目の前に広がるその美しい光景に、ただただ驚いた。
呆然と立ち尽くす私の目の前にあるのは小さな川。
小さいと言っても、立派な滝まである。何と言ってもこの景色。
本当にここは、あの鬱蒼《うっそう》とした森の中なのだろうか?
そう思ってしまうぐらい全てがキラキラと輝いている。

……凄い。
こんなに綺麗な所があるんだ……。

「ーー夢! 」

突然名前を呼ばれ、魂が抜けかかっていた事に気付いた私は、フルフルっと軽く頭を振ると声の主に視線を移した。

「夢、おいで」

ニカッと笑って、私に向けて左手を差し出す涼くん。
未だ左右共に繋がれたままだった手をスルリと抜けると、私は涼くんの元へ駆け寄り差し出された手を掴んだ。

「……足元気を付けて」
「うん」

少し山になっている地面を涼くんに引っ張ってもらいながら越えると、先程眺めていた川の目の前へと辿り着く。
近くで見る川は本当に凄く綺麗で、何だか胸がドキドキする。

気が付けばいつの間にか皆も近くに集まっていて、「凄いーー綺麗だね」と言って暫くその場で美しい光景を眺めていたーー。



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