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歪ーいびつー

第2章 小5ー夏ー



一体何だったんだろう……?
確かにキラッと光ったんだけどなぁ。ないなぁ……。
中々見つからない "何か" を夢中になって探す。
まるで宝探しをしている気分だ。

ーーーサラサラサラサラ
ーーーサラサラサラサラ
ーーー!!!?

夢中になって宝探しをしていると、突然出てきた足に驚く。

「夢、それは俺の足だよ。何してるの? 」

足を辿って見上げてみると、困ったように笑う涼くんがいた。

「ちょっとあっちに行こう」

そう言って私を立たせると、太もも部分で縛っていたワンピースを元の丈にキッチリと戻した涼くんは、そのまま私の右手を取ると少し離れた岩場へと連れて行く。

「夢、こっち」

岩場に座った涼くんは、自分のすぐ隣をペチペチと叩く。
私は言われるがまま素直に涼くんの隣に腰を下ろした。

「……夢。さっき何してたの? 」

いきなりの質問にドキリとする。
んーどうしよう……。
宝探しに夢中になっていたとは言えない。

「……何か落としたの? 」

フルフルと首をふれば、じゃあ、何?って顔して見てくる涼くん。

「……宝探し」
「……」

ボソッと小さな声で伝えてみるも、隣からのリアクションがない。
チラリと隣の様子を伺い見ると、ニカッと笑った涼くんがいた。

「そっか。あるといいな、宝」

そう言って私の頭をポンポンと優しく撫でる。

「じゃあ、俺からも夢に宝をあげる」

そう言って差し出された掌の上には、ピンクのキラキラした綺麗な貝殻が乗っていた。

「可愛いっ! 綺麗だね ……ありがとう、涼くん! 」

お礼を言うと「どういたしまして」と微笑む涼くん。

貝殻を空にかざして見てみると、より一層キラキラと輝く。
貝殻の先に見えた空は少し赤くなっていて……もうそろそろテントに帰らなければいけない時間なんだと、少し名残惜しく感じる。

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