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歪ーいびつー

第2章 小5ー夏ー



オレンジ色に染まる奏多くんの綺麗な横顔を見つめ、綺麗だなぁ……と思わず見惚れてしまった私は、気持ちを切り替えると奏多くんの視線を追うようにして目の前の空を眺めた。

暫くそうして空を眺めていると、いつの間にか集まってきた皆が横一列になって夕陽を眺め始める。
突然キュッと握られた手に驚き右側を見てみると、オレンジ色に染まった綺麗な横顔の涼くんがいた。

「綺麗だね」

空を見つめたまま涼くんが口を開く。
再び空へと視線を移した私は「うん、綺麗だね」と伝えると握られたままだった右手を握り返した。

目の前に広がる綺麗な夕陽を見ながら、今日あった出来事を色々と振り返る。
とても楽しい一日だった。
今日という日を、今この瞬間を、この六人で過ごせた事を……凄く凄く幸せに思う。

「……帰りたくないなぁ」

ポツリ、小さな声で本音が溢れた。

「またいつか絶対に皆で来よう。……中学、高校、大学、大人になっても。こうしてまた、皆で一緒にここへ来よう」
「うん」
「うん」
「そうだね」
「うん」
「うん、また来よう」

涼くんの発した言葉に皆がそれぞれに答える。
今日という日がもうすぐ終わってしまうという寂しさを感じていた私は、涼くんの言った言葉で次に来る日を約束した気分になり、なんだか少しだけ寂しさが薄らいでゆく気がした。

この時の私は、涼くんの言った言葉を信じて疑わなかった。
また皆でここへ来れるんだってーーそう信じていた。



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