歪ーいびつー
第4章 高1ー春ー
あの日からーー
私の隣にはいつも奏多くんがいる。
もちろん、他の皆とも未だに仲が良く一緒にいることも多い。
けれど、奏多くんは毎日こうして側にいてくれる。
私が塞ぎ込んで暫く学校に行けなくなってしまった時も、毎日家まで来てくれた。
それは皆と一緒だったり、時には一人だったり。
私がまた学校へ通えるようになると、奏多くんは行き帰りに必ず迎えに来てくれるようになり、いつしかそれが当たり前になっていった。
隣で歩く奏多くんを見上げると、その視線に気づいた奏多くんが「ん? どうかした? 」と聞いてくる。
私は小さく微笑みながら「ううん。何でもないよ」と返事をすると、再び前を向いて歩く。
そのまま奏多くんと話しながら歩いていると、20分ほどで学校へと着いた。
ーーここが、今日から私達が通う高校。
【県立桜ヶ丘高等学校】と書かれた門を一度目で確認すると、その先へと続く道を辿ってさらにその先にある大きな校舎へと視線を向けた。
今日から私はここで頑張っていくんだ。
そう心の中で呟くと、一度目を閉じてから再びゆっくりと開いてゆく。
手前へと視線を戻すと、ゾロゾロと沢山の人達が門を潜って行く姿が目に入る。
十数分後に始まる入学式を前に、新入生や保護者が続々と集まってきているのだ。
その中にはチラチラとこちらを見てくる人達が何人かいて、あぁ、きっと奏多くんを見てるんだ……。
カッコイイから見惚れちゃうんだろな……なんて思う。
「行くよ、夢」
ーーー!?
突然、頭上から奏多くんの声がしたのと同時に手を繋がれる。
奏多くんと手を繋ぐのなんて小学生以来の事だったので、突然どうしたのだろうと驚きながらも、私は黙って繋がれたまま門をくぐると中へと入って行った。
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