歪ーいびつー
第4章 高1ー春ー
「楓くんは彼女いるの? まぁ、これだけイケメンならいるかー」
そう言ってアハハッと笑う由紀ちゃん。
「俺は彼女いた事ないよ? 」
楓くんがそう言って小首を傾げてニッコリ笑えば、「うそぉーっ!? 」と周りにいた女の子達が騒ぎ出す。
「あー。楓は彼女はいないけどヤるだけの女が沢山いるよ。……ね? 」
そう言って楓くんの肩をポンッと叩く朱莉ちゃん。
「……あ~」って納得した様子の周りと、ポカンとなる私。
「夢ちゃんの前でそんな話しはしちゃダメだよ、朱莉ちゃん」
「何でもないから。気にしないでね、夢ちゃん」と言ってニコリと微笑む楓くん。
その後も色々と話していると、だいぶグループの人達と打ち解ける事ができた。
ちょうどその頃終業のチャイムが鳴り、帰り支度をする為に皆それぞれの席へと戻って行く。
私も自分の席で帰り支度をしていると、由紀ちゃんが目の前にやってきた。
「夢ちゃん、せっかく同じグループになったんだから連絡先交換しよ? 」
「あっ……うん! 」
由紀ちゃんの提案が嬉しくて、満面の笑顔で大きく頷く。
「やぁ~ん! ちょ~可愛いぃ~! 」
ーーー!!
いきなり抱きついてきた由紀ちゃんにビックリして、危うく手に持っていた携帯を落としそうになる。
「……あっ! ごめんね」
一人慌てふためく私を見て、ペロッと舌を出して可愛らしく謝る由紀ちゃん。
二人で連絡先を交換していると、いつの間にか私達の周りには皆が集まってきていて、気付けばグループ全員での交換となっていた。
こんなに一気に友達が増えるなんて……嬉しいなぁ。
携帯を見つめてそんな事を思うと、嬉しさから小さく笑みが漏れる。
「ーー夢」
突然呼ばれたその声に顔を上げてみると、笑顔でこちらに近づいてくる奏多くんがいる。