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歪ーいびつー

第4章 高1ー春ー

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「奏多くんてさ、何でうちの高校来たのかな? 」

オリエンテーションのグループ会議をしてる中、またも奏多くんの話しになる。

「……え? 」
「だってさぁ、ほぼ満点の入試トップだったらしいよ? そんなに頭が良いなら他にもっと良い学校行けるでしょ」

確かに頭が良いのは知っていたけど、そこまでだとは思ってもいなかったので驚いた。
確かーー。

「通学するのに無駄な時間を使いたくないって言ってた……かな? 」

そう伝えると、「そうなんだー」と意外にもすんなり納得してくれる。

「夢ちゃんは何でここにしたの? 」

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『セーラー服可愛いね』
『制服気に入った? 』
『うん』
『夢なら絶対似合うよ』

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昔、涼くんとした会話を思い出す。

「私は……近いから、かな」

そう答えると、「私も同じー」とニコニコしながら同意する朱莉ちゃん。
「徒歩圏内は確かにいいよね」と羨ましがる由紀ちゃん。

「楓くんは? 」
「えー? それは勿論……セーラー服がエロ可愛いからだよっ」

「わかるーっ! 」と楓くんの返答に同意した男の子達が、ゲラゲラと笑いながら騒ぎ出す。

「由紀は?」
「私は……好きな先輩がここにいるから」
「え~由紀って超おとめ~! 」
「もー! からかうの禁止だから~! 」

二人の会話を聞きながら、私は涼くんを思い出して寂しくなる。
私がこの学校を選んだ本当の理由は、昔涼くんが一緒に行けたらいいねって言ってくれたから。
本当なら今ここに涼くんがいたのかな……私の横で笑ってたのかな……って毎日考えてしまう。

「あ! そうそう。この学校のジンクス知ってる? 」
「ジンクス? え、何なに? 」
「屋上の外フェンスに一緒に鈴を付けた人は、一生離れず仲良くいられるんだって」
「それってカップル限定じゃん。つまんなーい」

ブーブー言って不貞腐れる朱莉ちゃん。

「別に友達でもいいんじゃない? 一生離れず仲良く、だから」
「あ、そっか! 」

そんな事を話していると、結局最後まで脱線した話しのままグループ会議は終了してしまった。

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