歪ーいびつー
第4章 高1ー春ー
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昼食の終わった私達が各クラスに戻る為に廊下を歩いていると、前からやってきた隼人くんがこちらに気付いて笑顔で近付いてくる。
「夢ちゃん。皆でお昼食べてたの? 」
「うん」
「いいなー。今度俺も誘ってい? 」
「えっ……? あ……う……ん」
ニッコリと微笑みながら腰を屈めて顔を覗き込む隼人くんに、やっぱりまだ少し苦手意識のある私は歯切れ悪く答えてしまう。
「ダメだよ、夢。こんなよくわからない男と仲良くしたら」
突然腕を掴まれて引っ張られた私は、よろけて奏多くんの方へと倒れ込む。
奏多くんに受け止められた私は、そっと顔を上げてみると奏多くんと目が合った。
優しい笑顔の奏多くんは、「許さないよ」と言って私を掴む手に力を込める。
「よくわかんない男ってさー、酷くね? 俺、クラスメイトなんだけど。だいたいさ、二人はただの幼馴染なんでしょ? なんでそんな風に言われなきゃなんない訳? 」
詰め寄る隼人くんに、奏多くんの力は更に強くなり私の腕に食い込んだ。
廊下にいる生徒達から「え、何なに。痴話喧嘩? 」などと言う声がチラホラと聞こえ、奏多くんと隼人くんのやり取りにオロオロと焦る朱莉ちゃん。
「夢は誰にも渡さない」
「……は? 何それ」
キリキリと痛み出した腕に耐えられなくなった私は、掴んでいる奏多くんの手を離そうとしてみるも、隼人くんを睨みつけている奏多くんは離してくれる気配がない。
痛さと恐怖で涙が出そうになったその時ーー
「奏多やめて! 夢が痛がってる! 」
奏多くんの手を掴んで離そうとしてくれる優雨ちゃん。
それでも離れない手に、ついに私の瞳から涙が溢れた。
「奏多。いい加減にしな」
そう言って珍しく真顔になった楓くんが、奏多くんの手を掴むとアッサリと私の腕から離してくれる。
「大丈夫? 夢ちゃん」
心配そうに私の腕をさすってくれる楓くん。
「授業始めるぞー。皆教室に入りなさーい」
いつの間にかやって来た先生の声で、廊下にいた生徒達が散り散りに教室へと入って行く。
「夢ちゃん、行こう」
そう言って優しく手を引いてくれる楓くんに連れられ、私はそのまま奏多くんを置いて廊下を後にした。
その日の放課後、私は初めて奏多くんを避けて一人で帰宅したーー。
昼食の終わった私達が各クラスに戻る為に廊下を歩いていると、前からやってきた隼人くんがこちらに気付いて笑顔で近付いてくる。
「夢ちゃん。皆でお昼食べてたの? 」
「うん」
「いいなー。今度俺も誘ってい? 」
「えっ……? あ……う……ん」
ニッコリと微笑みながら腰を屈めて顔を覗き込む隼人くんに、やっぱりまだ少し苦手意識のある私は歯切れ悪く答えてしまう。
「ダメだよ、夢。こんなよくわからない男と仲良くしたら」
突然腕を掴まれて引っ張られた私は、よろけて奏多くんの方へと倒れ込む。
奏多くんに受け止められた私は、そっと顔を上げてみると奏多くんと目が合った。
優しい笑顔の奏多くんは、「許さないよ」と言って私を掴む手に力を込める。
「よくわかんない男ってさー、酷くね? 俺、クラスメイトなんだけど。だいたいさ、二人はただの幼馴染なんでしょ? なんでそんな風に言われなきゃなんない訳? 」
詰め寄る隼人くんに、奏多くんの力は更に強くなり私の腕に食い込んだ。
廊下にいる生徒達から「え、何なに。痴話喧嘩? 」などと言う声がチラホラと聞こえ、奏多くんと隼人くんのやり取りにオロオロと焦る朱莉ちゃん。
「夢は誰にも渡さない」
「……は? 何それ」
キリキリと痛み出した腕に耐えられなくなった私は、掴んでいる奏多くんの手を離そうとしてみるも、隼人くんを睨みつけている奏多くんは離してくれる気配がない。
痛さと恐怖で涙が出そうになったその時ーー
「奏多やめて! 夢が痛がってる! 」
奏多くんの手を掴んで離そうとしてくれる優雨ちゃん。
それでも離れない手に、ついに私の瞳から涙が溢れた。
「奏多。いい加減にしな」
そう言って珍しく真顔になった楓くんが、奏多くんの手を掴むとアッサリと私の腕から離してくれる。
「大丈夫? 夢ちゃん」
心配そうに私の腕をさすってくれる楓くん。
「授業始めるぞー。皆教室に入りなさーい」
いつの間にかやって来た先生の声で、廊下にいた生徒達が散り散りに教室へと入って行く。
「夢ちゃん、行こう」
そう言って優しく手を引いてくれる楓くんに連れられ、私はそのまま奏多くんを置いて廊下を後にした。
その日の放課後、私は初めて奏多くんを避けて一人で帰宅したーー。