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歪ーいびつー

第2章 小5ー夏ー



涼くん達に準備させてばかりでは悪いと思った私は、その分料理を頑張ろうと小さく心の中で気合いを入れると、食器を持って流しへ持って行こうとした。

「ーー夢」

不意に後ろから名前を呼ばれ、食器を持ったまま振り返る。するとそこには、食材を抱えて戻ってきた奏多くんが立っていた。
澄んだ切れ長の瞳に、キリッとした表情と凛とした佇まい。抱えている食材が何だか似合わなくて、私は思わずクスリと笑みを漏らす。

「奏多くん、食材ありがとう」
「?……うん」

一瞬不思議そうな顔をした奏多くんは、少しの間を置くといつも通りの表情に戻って頷いた。
その後、皆で食器や食材を洗っているとすぐに涼くんも戻ってきて、お腹が捩《よじ》れる程に大笑いし合った夕飯作りは本当に楽しかった。

私の顔に泡を付けてくる朱莉ちゃん。
お返ししようとしたら、なぜか優雨ちゃんに付いちゃって。それを見て笑う涼くん。
夢中で火起こししていたら、いつの間にか顔中が煤《すす》だらけでーー涼くんと二人、顔を見合わせ笑い合った。
私が包丁を握ろうとしたら、危ないからと使わせてくれない奏多くん。
そんな奏多くんに呆れ顔の優雨ちゃんは、優しく私に包丁を教えてくれた。

よくわからない虫が飛んできた時はビックリして少し涙が出たけど、大丈夫だよって優しく楓くんが追い払ってくれた。
料理が上手く出来たと、朱莉ちゃんと二人で喜んでハイタッチ。私がおたまを持ったままだったから……カレーが飛び散っちゃってみんなに少し怒られたりもしたけど。

初めてのキャンプでする料理はとても楽しくて、六人で作ったカレーは本当に美味しくて……。
また皆でキャンプができたらいいなってーー心から思った。



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