歪ーいびつー
第2章 小5ー夏ー
夕食の後はキャンプファイヤーまで2時間ほどの自由時間。
といっても、ここには川と、その川を覆うように茂っている森しかない。
その川も前日の大雨による水嵩《みずかさ》の増量で入る事を禁止されている。
まだ明るいとはいえ、森へ入るのはやっぱり怖い。
また何だかよくわからない虫がいるかもしれないし、熊なんかも……もしかしたらいるのかもしれない。
そう思うと余計に森へは入りたくなくなる。
とどのつまり、何もする事がないのだ。
トイレに行くと言う優雨ちゃん朱莉ちゃんを待つ為に、今こうして一人テントで待っているのだけど……。
何だか眠たくなってきちゃったなぁ。
昨日は楽しみすぎてあまり眠れなかったから。
外に出ればまだ蒸し暑さがあるのに、テントにいると日陰のせいかちょうどいい温度に感じる。吹き込む風が気持ち良い。
あぁ……本当に眠くなってきちゃった。
我慢できない睡魔に、少しだけ横になってみる。
トイレ、混んでるのかなぁ……。
「優雨ちゃん達まだかなぁ……」
ポツリ呟くと、私は意識を手放した。
ーーーーーーー
「ーーめ」
……何……?
ユラユラと身体が揺れて心地良い……。
「ゆーー」
ん……誰かが私を呼んで……るの?
心地良い揺れに身を委ねながら、ボンヤリとした意識でそんな事を思う。