歪ーいびつー
第13章 ー6月ー
優雨ちゃんは鍵を持っているし、一体誰だろう……?
そんな事を考えながら、私は扉に向かって恐る恐る口を開いた。
「……誰……ですか? 」
「……朱莉。ここ開けてくれる? 」
ーーー!?
扉の外から聞こえてきた声に驚きながらも、私はそっと扉を開くと朱莉ちゃんを見た。
「夢に話しがあって……今ちょっといいかな? 」
「うん……今優雨ちゃん待ってるところなの。どうぞ入って」
「誰にも聞かれたくない話しなの。優雨が帰ってきて聞かれるのも嫌だから……すぐ済むから着いて来てくれる? 」
「えっ……うん、わかった。」
美術室の鍵を持っていなかった私は一瞬その提案に迷ったものの、今にも泣き出してしまいそうな朱莉ちゃんを見て、小さく頷くと黙ってそのまま着いて行く事にした。
朱莉ちゃんに連れられて近くの空き教室へと入った私達は、暫くの間お互い沈黙になる。
その沈黙が気まずくてそろそろ耐えられなくなってきた頃、突然朱莉ちゃんがこちらを振り返った。
「ごめんなさい! 」
ーーー!?
そう言ってガバッと頭を下げる朱莉ちゃん。
「どっ……どうしたの、朱莉ちゃん」
頭を下げたままの朱莉ちゃんの肩にそっと手で触れると、顔を上げた朱莉ちゃんが私を見て泣き出した。
中学の頃からずっと嫌がらせをしていたのは自分だったと……。
箱に入った虫以外は全部自分がした事で、全て、奏多くんが好きで嫉妬してやってしまったと。
それでも色々考え、やっぱり夢とは友達でいたい。許して下さいーーとボロボロと涙を流しながら話す朱莉ちゃん。