歪ーいびつー
第2章 小5ー夏ー
何……??
「ゆーめ」
……あっ……そうだ、私……。
手放していた意識を懸命に手繰《たぐ》り寄せると、何とか覚醒しようと頑張ってみる。
やけに重たい瞼をゆっくりと開いてみれば、私の視界いっぱいに笑顔の涼くんが広がった。
「……っん。寝ちゃってたぁ」
覚醒しきれていない頭でそんな事を言いながら瞼を擦る。
「うん、知ってる。そんな風に寝てると風邪ひくよ」
いつもの笑顔でニカッと笑った涼くんは、言いながら私の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「夢、今から凄い所に連れてってあげる」
相変わらずの笑顔で、今度はくしゃくしゃになってしまった私の髪を整えながら話す涼くん。
「凄いところ……?」
「うん。夢きっと気に入るよ。行きたくない?」
ちょっぴりイジワルそうな笑みを見せられれば不思議と興味は湧いてくるもので……。
「……行きたいっ!」
興奮気味にそう告げると、涼くんはアハハと可笑しそうに笑って私の頭をポンポンと優しく撫でた。
せっかくだから皆も誘おうとの事で、勿論異論などなかった私は皆が集まるのを待ってから涼くんの後へ着いて出発した。