歪ーいびつー
第13章 ー6月ー
「俺達のクラスはね、黄色になったよ。今日ハチマキ縫ったんだけどさ、裁縫って難しいね」
そんな事を話しながらクスクスと笑う楓くん。
私は扉に近付くと、ノブに手を掛けてゆっくりと扉を開いた。
開けた扉から視線を上に向けると、優しく微笑む楓くんが視界に映る。
「夢ちゃん、久しぶり。やっと開けてくれたね」
そう言ってニッコリと微笑む楓くんを見て、私は罪悪感から涙を流した。
「……っ……楓くん……ごめんなさい……」
「泣かないで、夢ちゃん。大丈夫だから……ね? 」
私の頬に流れる涙を拭ってくれる楓くんは、小首を傾げて優しく微笑んだ。
その後、楓くんを部屋に招き入れた私は奏多くんとはもう接触しないと決めた事、楓くんと前のように仲良くしたいという事を伝えた。
でも、奏多くんが怖くて学校に行けないという事もーー。
泣きながら話す私の言葉をジッと黙って聞いてくれていた楓くんは、突然私を抱きしめると口を開いた。
「大丈夫、俺がずっと側にいて守ってあげるから。俺ね……ずっと昔から夢ちゃんの事が好きだったんだ」
「……っ……」
「……好きだよ、夢ちゃん」
抱きしめていた身体を離した楓くんは、私を見つめてふわりと柔らかく笑うと、とても優しい声で私にそう告げた。