歪ーいびつー
第13章 ー6月ー
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楓くんが帰って行った後、私は一人になった部屋で机に置かれたままの小さなピンクの箱を見つめた。
簡単な事ではないけど、私は少しずつ前を向いて生きていかなければいけない。
いつまでも涼くんに頼って、涼くんに救いを求めていたらいけないんだ。
ゆっくりでいい。ゆっくりでいいから……涼くんの死を受け入れていこう。
そう思いながら、小さなピンクの箱の蓋をそっと開いた。
ーーこの箱を開けるのはあの日以来だった。
私は中に入っている貝殻のブレスレットを見つめると、まるで誰かに話し掛けるようにして呟いた。
「明日からちゃんと学校に行くね……」
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