テキストサイズ

歪ーいびつー

第13章 ー6月ー



成績、態度共に優秀な優雨ちゃんは、何かにつけてよく先生に捕まり用事を頼まれている。
ジュースを買ってくると言って出て行った二人は、戻ってくると朱莉ちゃんだけだった。
先生に捕まり、ウンザリしたように困った顔をさせる優雨ちゃんを想像して、私はクスリと声を漏らした。

今日は久しぶりに四人で帰ろうと楓くんが提案してくれて、今こうして久しぶりに皆で集まっているのだけど……。
本当なら、ここに奏多くんもいたはず。
そう思うとやっぱり少し寂しさを感じるけど、少し前までの辛かった自分を思い返すと、今、この瞬間が凄く大事に思えた。

ーーーガラッ

教室の扉が開かれ、優雨ちゃんが帰ってきたのかとそちらに視線を移す。
すると、そこには奏多くんが立っていてーーその目はとても怒っていた。

「……夢」

怒りを含んだその声に、私の身体は恐怖でビクリと小さく震えた。
そのまま無言で教室へと入って来る奏多くん。
そんな奏多くんを見つめたまま、私と朱莉ちゃんは恐怖で固まったまま動けないでいた。
すると、目の前に座っていた楓くんがスッと立ち上がり、私の目の前へ立ち塞がった。

「……奏多、それ以上近付くな」

楓くんが奏多くんに向けてそう言ったその時、開かれたままだった扉から優雨ちゃんが戻って来た。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ