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歪ーいびつー

第13章 ー6月ー



「奏多……」

目の前の奏多くんを見て、怯えた顔をする朱莉ちゃん。
カタカタと震え出した私を抱き寄せた楓くんは、「大丈夫だよ……指一本触れさせないから」とだけ私に告げると、目の前の奏多くんを睨んだ。

優雨ちゃんを引きずるようにして私に近付いて来た奏多くんは、私達の目の前でピタリと立ち止まるとニヤリと不気味に笑って口を開いた。

「涼を殺したのは優雨だよ」
「……え? 」

一瞬、奏多くんが何を言っているのか意味がわからなかったーー。

涼くんは岩から足を滑らせて川に落ちてしまった事故で亡くなったと……私は確かにそう聞いていた。
優雨ちゃんが涼くんを殺したって……何……?
まるで鈍器で殴られたかのような衝撃が走り、グニャリと歪んだ視界に足元がふらつく。
私は呆然とした頭で奏多くんの瞳から視線を外すと、その隣へ向けてゆっくりと瞳を動かした。

その先で私の視界に映ったのはーー
とても蒼白い顔をした優雨ちゃんが……怯える様な顔をして私を見つめている姿だった。



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