歪ーいびつー
第14章 優雨 4
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「優雨、ちょっと二人きりで話しがしたいんだけど」
キャンプファイヤーも終わりテントへ戻ろうと夢達を探していると、ポンッと肩を叩かれて涼に話し掛けられた。
「うん、わかった」
そう返事をすると黙って涼の後を着いて行く。
涼は川まで行くと、一度誰もいないのを確認してから岩場へと腰掛けた。
「優雨もこっちにおいで」と言われ、私は黙って隣に腰を下ろした。
涼の話しとは何だろう……。
もしかして、あのテントの中の出来事では……。そう思った私は、緊張で額に汗が流れる。
「あのさ……もう夢にああいう事するのやめてくれないかな」
「……っ! あ、あれは……起きない夢をからかっただけだよ」
突然話し出した涼に、焦った私は咄嗟に言い訳の言葉を並べた。
「キスくらい……女の子同士でふざけてやったりするし」
「……そう」
「そ、そうだよ」
何とか誤魔化す為に必死に言葉を繋げる。
「俺さ……その前から見てたんだ」
ーーー!?
その言葉に驚いて視線を向けると、そこには悲しげな顔をして私を見る涼がいた。
「ごめん、ずっと見てたんだ」
「……っ! 」
私の顔は瞬時にカッと熱を上げた。
「誰にも言わないから。もう夢にあんな事はしないで。……言いたかったのはそれだけだから」
悲しそうに微笑んだ涼は、それだけ言うと立ち上がった。
無意識にその姿を目で追って見ていると、涼の手首に付けられているブレスレットが視界に入った。
先程、テントの中で嬉しそうにブレスレットを見つめていた夢ーー。
『あの二人は両思い』
そんな言葉がグルグルと頭の中を駆け巡る。
「……さ……い……っ」
「え? ……何、優雨」
私の声に反応した涼が、岩場の上で立ち止まって私を振り返った。
「夢は渡さないっ!! 」
私はそう叫ぶと涼を突き飛ばしたーー。
それは、やけにスローモーションに見えた。
驚きに目を見開く涼の顔。
ゆっくり、ゆっくりと後ろへ倒れてゆく身体。
岩から離れた足は宙を舞い……そして、涼の姿は川の中へと消えて行ったーー。
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