歪ーいびつー
第15章 ー6月ー 2
早く見つけないと危険だからと、手分けして優雨ちゃんを探す事にした私達。
優雨ちゃんは無事だろうか? 奏多くんは助かるだろうか?
色々な事がありすぎてパニックの私は、今は二人の安否しか考えられない。
それだけでいい。それだけでいいんだ。
自分に言い聞かせるようにして懸命に足を動かす。
あ。ーー携帯。
私はふと思い立って、ポケットに入っている携帯を取り出すと優雨ちゃんに電話を掛けてみた。
お願い……お願い優雨ちゃん出て。
祈る気持ちでキュッと目を瞑ったその時、プッと短い音を鳴らして途切れた呼び出し音。
「優雨ちゃん! ……優雨ちゃん! 良かった……っ今どこ?どこにいるの? 」
私は繋がった携帯に向かって勢いよく話し出した。
『………夢。ごめんね……っ……本当に……っごめっ……んね……っ』
「うん……っ……わかったよ……わかったから……っ……今どこにいるの? 優雨ちゃん」
私の質問には答えようとせずに、ただ泣きながら謝り続ける優雨ちゃん。
ーーー!
その時、携帯の奥で微かに鈴の音が聞こえた。
『今まで……っ……ありがとう。ばいばい、夢ーー』
「優雨ちゃん! ……っ優雨ちゃん! ……やだぁぁー! ……っ優雨ちゃんっ! ……っ ……ぅっ」
私は切れてしまった携帯に向かって泣き叫ぶと、屋上へと続く階段へと向かった。