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はるのかぜ

第56章 ハルが先生になる時

「緊張するでしょうけど、この辺でお待ちください。」

そう言うと亀梨先生はハルを教室の片隅に待機させ、教壇へと向かいます。

「はい、じゃあ号令お願いします。」

亀梨先生の一声で学級委員らしき生徒が言います。

「起立!気をつけ!礼!」

「おはようございます。」

「着席!」

生徒たちが全員座ると、亀梨先生は伝達事項を伝え始めます。

「はい、じゃあ早速、今日の伝達事項に入ります。こら、静かにしなさい!」

生徒たちはハルの姿が気になるのか、少し騒がしくしています。一旦、注意を促した亀梨先生でしたが、生徒たちが落ち着くのを少し待って続けます。

「先週末にお伝えしたように、今日からこのクラスに、教育実習の先生が来られてます。じゃあ、先生、お願いします。」

亀梨先生に誘導され、ハルが教壇に立ちます。

「おはようございます。今日から3週間お世話になることになりました、内海ハルと言います。短い間ですが、最後までどうぞよろしくお願いします。」

ハルの自己紹介が終わると教室は自然と拍手に包まれました。これが、ハルにとって、人生で初めて先生になった瞬間だったのです。

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