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はるのかぜ

第57章 教えることの嬉しさ

教育実習が始まったハルですが、大学生活とは違い、大忙しの1日が待っていました。最初の1週間に言い渡されたことは2つあります。まずは定期的な授業の見学です。そして、もう一つは自分が実施する授業の教育指導案の作成です。教育指導案とは1時間の授業で到達したい目標やその授業をどのようなスケジュールで進めていくかを記載した資料です。早速ハルは、国分先生の授業の見学に行きました。

「よし、じゃあ始めるぞ!」

「起立!気をつけ!礼!」

「お願いします。」

学級委員の号令に続き、生徒全員が挨拶します。

「じゃあ、まずは後ろに注目!教育実習の先生だ!」

国分先生は早速、教室の生徒たちにハルを紹介します。

「教育実習生の内海です。よろしくお願いします。」

国分先生の一声に続いて、ハルが言いました。

「今日はいつも通り、私が授業をするが、内海先生にはこの授業を担当してもらう予定だ。みんな、よろしく頼むな!よし、じゃあ今日は新しいところに入ろう。教科書は20ページ、今日から「順列」ってところに入るぞ。じゃあ、順列とは何か説明する前にちょっとここで今までの復習をしよう。」

そう言うと、国分先生は黒板に問題を2問書きました。

「今までこの授業ではいろんな数字や物を並べる時に全部で何通りあるかの出し方を学習してきたな。今、黒板に書いた2つの問題がまさにそうだ。じゃあ、ちょっとこの2問解いてみよう。」

国分先生のその一声で生徒たちは問題を解き始めます。そんな中、ハルは1人の男子生徒の様子が気になっていました。先ほどハルが自己紹介をしたときからずーっとハルのことを見ているのです。国分先生が問題を解く生徒たちの様子を見るため教室中を回り始めたので、ハルもその男子生徒に近づきました。ハルが話しかけるより前に男子生徒のほうから声をかけてきました。

「先生、何歳?」

ハルはその質問に優しく返します。

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