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はるのかぜ

第58章 私に何ができるんだろう

ハルと赤西先生は話ながらコミュニケーションルームに向かいました。

「どうでしたか?今日、1日?」

「なんか、空き時間もいろいろすることがあって、あっという間に1日が過ぎ去りそうです。」

「教育実習は大変ですよね。私の時も日誌書いたり、指導案作ったりで大変でしたもん。とりあえず、演劇部の指導は無理のない範囲で大丈夫ですから。指導とは言っても、私たちもいつも見てる訳じゃなくて、基本、生徒たちに任せて、時折様子を見に行く感じです。」

「そうなんですね。」

そうこうしているうちに2人はコミュニケーションルームに到着しました。
中から生徒たちの熱演する声が聞こえます。ハルと赤西先生はそんな生徒たちの熱演をコミュニケーションルームの後から眺めていました。

「今、やってるのが、今月末にある、文化祭で披露する劇です。」

赤西先生がハルへ小声で説明しました。

「ねぇ、お節ちゃん。最近、ちょっと痩せたんじゃない?」

「そうかなぁ?」

「無理してるんじゃない?」

その時突然、監督をしていると思われる生徒が手を叩き、劇は中断となり、監督と役者とのやり取りが始まります。

「そこのシーンなんだけど、もうちょっと2人は近づいたがよさそうよ。」

「これぐらいですかね。」

「うん、いいと思う。」

生徒たちのやり取りの合間を見計らい、赤西先生が声をかけます。

「みんな、練習中にごめんね。今日からしばらくの間、演劇部を担当してくださることになった、教育実習生の内海先生です。」

「内海です。よろしくお願いします。」

「よし、じゃあみんな練習続けて。」

赤西先生のその一声で練習は再開されました。引き続き、ハルと赤西先生は生徒たちの練習の様子を見てました。この時、ハルは演じる生徒のクオリティの高さに、自分にできることは何かあるんだろうかと少し不安になっていました。

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